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超絶

分類:森近霖之助 チルノ 掌編
 
 
 その日も僕は自らの内面にある思考の海を漂っていた。知識と言う大海の水面に投げ込んだ疑問という小石。それによって引き起こされた小さな揺らぎは、次々にさざ波を起こし様々な考えを共起させていく。時にはその波が思いも付かぬ高波となり、固定観念という巨大な船を飲み込んでいく事さえある。この過程が僕にとっては堪らなく楽しいのだ。決してここ数日客が寄り付かず、暇を持て余し続けているという訳ではない。僕のような高い精神性を持つ人間程、思考を練り上げる事の尊さを良く理解しているからだ。

 さて、今日はどのようなつぶてを僕の海に放り込むか……その時、僕の耳には店の外を飛び回る妖精達の姦しい声が放り込まれてきた。フムン、そう言えば自らの最強を公言して憚らない妖精が居るとか……確か、名はチルノだったか。丁度良い、題材はこれで決まりだ。

 チルノ、種族は妖精、そして能力は冷気を操る程度の能力。この冷気を操る程度、と言う能力が僕にとっては実に興味深い。外界の書物から得た知識なのだが、四海に存在する物質全ては、原子という肉眼では確認できない程の微少な物体で構成されているのだという。そしてその原子が絶えず運動を行う事で、物体が持つ温度が発生しているらしい。簡単に言えば炎の如く激しく体を動かせば熱くなり、山の如く不動でいれば寒くなるのと同じようなものだろう。
 そこでチルノの冷気を操る程度の能力だが、冷気を操ると言う事はつまり大気の原子運動を鈍らせる、と言う事に他ならない。今はまだ氷を創り出す程度に収まっているようだが、彼女次第ではまだまだ能力を発展させる事が出来るだろう。例えば、原子運動を活発にさせる事が出来るようになればどうだ? その時彼女は熱さえも自在に手中に収める事が出来るだろう。もっとも、収めたその手が熱に耐えられない可能性があるが。
 それよりも僕が興味を引かれるのは、彼女の能力を更に強化した場合だ。原子運動を鈍らせる程度の能力。これを更に強化すると言う事は、即ち原子運動を『停止』させると言う事だ。しかし外界では『絶対零度』と言う温度の下限が存在し、どうやらその絶対零度でさえ、原子の運動を繋ぎ止める事は不可能なのだという。しかし思い返して欲しい。この世界は科学に縛られた不自由な外界とは違う。巫女や魔法使いは空を飛び、あらゆる魑魅魍魎は我が物顔で闊歩する、果てには亡霊や神様が酒を酌み交わす幻想郷である。そんな世界で『絶対』という言葉遊びなどは何の意味も持たない。彼女が自らの力を信じれば、科学の限界など路傍の石と変わらないだろう。

 外界では有り得ないとされる現象、それが引き起こされた時果たしてどのような結果をもたらすのか……興味は尽きる事が無い。彼女ならばきっと絶対さえも越えてみせるだろう。そう、バカに限界は無いのだ!

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学


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鈴月

Author:鈴月
初めまして、鈴月(すずつき)と申します。最近になって東方に嵌った俄です。
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