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住み着く蟲

分類:森近霖之助 博麗霊夢 掌編
 
 
 外の世界から流れ込んできた書物や道具など、常人にはその価値を計りかねる物ばかりが並ぶ古道具屋、香霖堂。その妖しげな雰囲気を醸し出している道具屋に

「きゃああああああああ!」

 絹を引き裂くような乙女の悲鳴が響き渡った。

  ◆  ◆  ◆

「一体何があったと言うんだい、霊夢」

 未だ興奮冷めやらぬ様子の少女、博麗霊夢を宥めるように、この香霖堂の店主である森近霖之助は声を掛けた。

「どうもこうもないわよ! 『暇だから偶には本でも読もうかなー』と思って開いてみたら突然虫が飛び出してきたのよ!? びっくりするに決まってるじゃない!」

 霊夢は鬼気迫る表情でそう告げると、手元にあったお茶を一気に飲み込む。目元にうっすらと浮かぶ涙は虫のせいだろうか、はたまた熱いお茶を一息に飲み下したせいだろうか。どちらにせよ完全に頭に来ているようだ。霖之助も彼女が暫く落ち着きそうにない事を見定めると、これは時が解決するのを待つしかないと結論付けた。
 それにしても、と霖之助は思う。普段嵐のように迫り来る弾幕は涼しげにいなす癖に、虫が一匹飛んできただけで心乱されるとは。フムン、年相応の少女らしい可愛げも、しっかりと彼女は持ち得ているのだ、とも。普段『博麗の巫女』として異変解決の為東奔西走している姿を見知っているだけに、この虫一匹に涙目になる、というギャップは霖之助にとって中々に興味深いものだったらしい。
 霖之助が考え事をしている内に、霊夢も少し落ち着いてきたようだった。ならばと霖之助は、霊夢に自分の話を聞かせる事で、彼女が完全に冷静になるまでの時間を稼ぐ事を狙った。

「本の間から虫、ね。恐らくそれは紙魚だろう」
「紙魚?」

 初耳だ、とでも言わんばかりに霊夢が霖之助の言葉を反芻する。

「そう紙魚。因みに字は『紙の魚』と書く。魚のように身をくねらせて移動する事からその名が付いたらしい。さてこの紙魚だが、その名が示す通り紙が好物でね、特に本の糊が付いた紙などには目がないらしい。加えて彼らは湿気や日陰を好む。なるほど、彼らに言わせればこの香霖堂は天国だろうね、過ごしやすい環境ばかりか、好物にも事欠かない」

 霖之助の話を受けて、霊夢は何故だかぽかんと口を開けている。と思えば急に眉をつり上げると

「冗談じゃないわよ、その話が本当ならこの店中にあの虫がいるって事じゃないの! 今すぐ店中を掃除するわよ!」
 
 と叫んだ。

「君は一体急に何を言い出すんだ?」

 霖之助は霊夢の機嫌が再び悪くなった事に納得がいかないのか、怪訝そうに聞き返す。

「だってそうでしょ! 将来虫で一杯の場所になんて住みたくないわ!」

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学


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タイトル案。

・しみわたるしみ
・検索するなよ、絶対するなよ!!
・住み着く蟲
センス無くてスマソ(´・ω・)
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Author:鈴月
初めまして、鈴月(すずつき)と申します。最近になって東方に嵌った俄です。
ここではCoolier-クーリエ-東方創想話に投稿した作品のまとめ等を行いたいと思っています。

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何かありましたら上記の連絡先までお願いします。
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