FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手

うやむや 後書き

 pixivに投稿したもの。企画に参加させて頂いたものです。

 企画の趣旨を微妙に勘違いしていて、お化け屋敷に行っていないのはここだけの秘密です。

 というか今回の話はプロットから妙な方向に転がっていって、書いていて愉快でした。続きの方にプロットを載せておくので比較しても面白いかもしれません。取り敢えず書きたかった部分が丸わかりのプロット。
 
 

プロット


「うやっ!」
 白黒と紅白が店のベルを鳴らすと同時に、一つの声が響き渡る。
 それを聞き、僕はまたかと溜息を深々と吐く。

「香霖、なんだこれ?」
「非売品の鳥かごだよ」

指さした先には鳥かごが一つ。


「そうじゃなくて、その中身だ!」
「あぁ、それなら有耶無耶だよ」
「うやむや? 適当なこと言って誤魔化すなよ香霖。私はあの鳥がなんなのかを聞いてるんだぜ」
「だから有耶無耶という鳥なんだって……」

 魔理沙は知らないだろうが、来るもの来るもの皆が真っ先にあの鳥について僕へと問いただす。おかげで僕はオウムのように何度も々答えを返す羽目になる訳だ。たまには少々違った返しをしたくなることだってある。
 

「で、なんでまた霖之助さんは突然鳥を飼い始めたのかしら? ただでさえ閑古鳥が鳴いているっていうのに」
「……別に。ただの貰いものだよ、そいつは。餌をやるのも、ちょっとした道楽ってやつさ」

 口ではそう言いつつも、僕はこの鳥の価値を知っている。そう、決してただの道楽で飼っている訳ではない。れっきとした役割があるのだ。この有耶無耶には。

 そもそも、初めにこいつを見つけたのはただの偶然だった。いつものように無縁塚にて善行と実益を兼ねた埋葬作業を行っていると、やおらに何かの鳴き声が聞こえてきたのだ。「うやっ!」と。
 かつて聞いた事の無い声に、僕は興味を引かれ、その主を目で追う。その視線の先に鎮座していたのは、一匹の黒鳥。傍目には大柄烏に見えなくもない。
 が近づくにつれて、その認識が大間違いだという事を、僕は思い知ることになる。枝の上に立ち止まり、不動のままこちらを見据えてくる黒鳥。その身が醸し出す雰囲気は、明らかに野生の烏とは何か隔絶したものを感じさせる。そして何より僕が畏怖の念を覚えたのは、その瞳だ。
 こちらを一直線に射貫くその視線。まるで僕の心の深奥まで見透かすような、そんな鋭さを感じる。まるで、ここではないどこか。遙かな高みより僕の全てを見通しているかのようだ。
 ここに至って、僕はこの鳥がただものではないと気がつき始めていた。そう、これは大層貴重なものなのだと。
 
 この鳥は、先程「うやっ!」と鳴いた。おそらく、この鳴き声は僕をめがけて放たれたものだろう。
 「うや」とは、おそらく漢字で書けば「有耶」となるのだろう。すなわち、「有耶無耶」の前半部分である。そして「有耶無耶」とは「有りや無しや」が縮まり出来たもの。つまりこの鳥は僕に「有りや」といった訳だ。
 そして、果たしていったい僕に何があるとこの鳥は言いたかったのだろうか。
 答えは簡単。「邪」だ。
 そう、「うやむや」の「や」とは、元々は「じゃ」が転じたもの。僕は面と向かって「邪な心有り」と断ぜられた訳だ。
 まぁ、確かに自分の中に邪な心があったことは否定しない。埋葬にかこつけ、良さそうな道具をめざとく探していたのだから。
 しかし、埋葬自体は手抜かり無く行っていた。それこそ、知らないものが見ればなんと心のこもった供養だと思い込むほどに。
 その表層の偽りを、この鳥は見抜いた。何一つ言葉を投げ掛けることもなく、ただ見ただけで。

 そんな確かな眼力を持った鳥。これは何とも我が店に鎮座して頂きたいものだ。そうすれば、僕の店に来るよからぬ輩、有り体に言えば冷やかしの客を一目で判別してくれるだろう。

 問題は、どうやって香霖堂までご足労願うか、だ。何しろ、こちらの邪な心は全て見えているのだから。
 しばらく悩んだところで、一向に答えは見えてこない。ならばもういっそのこと、当たってしまうべきだろう。その先に砕けるかどうかは、それこそ僕の目では見通すことが出来ないのだから。

「僕の名は森近霖之助、香霖堂という古道具屋を経営している。君に話しかけた理由はただ一つ。君に、僕の店へと来て欲しいんだ」
 一匹の鳥に向かい、僕は大真面目に自己紹介を行う。傍から見たらどのような光景に見えるかは、この際考えないことにする。
「僕の店には、自分で言うのも何だが様々なものたちが来る。だが悲しいかな。その大半は何も買う気が無い、所謂冷やかし客というやつなんだ」
 僕はそこで息を一つ切る。そうして大きく息を吸い込むと、僕の思いを全て黒鳥へと吐き出す。
「そこで君に、それら品を見る気も無い冷やかし客の品定めをして欲しいんだ。君が有耶と鳴いてくれれば、僕は邪な客の相手をしたあげく空回る必要がなくなる。真に僕の店を求め、そうして訪れた客の相手だけが出来るようになるんだ。だから、頼む」
 そうして、僕は深々と頭を下げた。これが今の僕に出来る精一杯の誠意だ。もちろん、打算が大いに含まれていることは否定しない。しかし、打算がなければ、欲がなければ人は前へと進めないのだ。今よりも良くなろうという心、それが欲なのだから。
 
「うやっ!」

 響き渡る声。そして同時に羽ばたき音と、そして確かな重さが僕の肩へと生まれる。
 顔を上げてみれば、僕の肩へと止まった黒鳥の姿。これは……僕と共に来てくれるということだろうか。
 
「うやっ!」

 僕の言葉を肯定するかのように、再び黒鳥が鳴く。そうか、僕の心が伝わったのか。
 急に百人力を得たかのような心持ちになり、僕は頬が緩むのを感じる。そうして、僕は肩に掛かる確かな重さを感じながら、香霖堂への帰途についたのだった。
 

 そうして、この有耶無耶――これは僕が付けた名だ。いつまでも黒鳥と呼び続けるのは不便だったので――は香霖堂へと鎮座することになったのだが、それからが大変だった。何せ、来る客来る客全てにと言って良い位の頻度で「うやっ!」と鳴き続けるのだ。
 この結果には、我ながら開口した口が塞がらない。なにせ、まともな客は香霖堂に来ないことを証明してしまったのだから。

 そういった理屈で、僕は魔理沙と霊夢を前に深々と溜息を吐いた訳だ。途中で数えるのも嫌になったせいで、いったい有耶の声が今何度目かは最早判らない。
 まぁ、いい。この客たちは用件を済ませばさっさと帰るのだから、それを片付けてしまおう。

「で、今日はいったい何用だい。少なくとも、商品に用がないことは知っているが」
「随分とご挨拶だな香霖。ま、確かに今日は何かを買うつもりはないんだが」
 今日は、ではなく今日も、だろう。流石にそれを口に出して言うことはしないが。
「じゃあ単刀直入に言うわ。今度肝試しがあるんだけど、何か良い驚かし方はないかしら」
「フムン。肝試し、かい」


事の次第を聞くと、何でもこの間の宴会で前に行った肝試しの話になり、その頃居なかった面子も巻き込んでもう一度盛大に行おうと言うことに決まったらしい。盛大な肝試しというのもなんだかおかしな気もするが、そもそも参加者の大半が人間ではない時点で気にしても詮無きことだろう。

色々とアドバイス。役に立たなそうな感じで。

「せっかくだから霖之助さんも参加する?」
「いや、遠慮しておくよ。わざわざ自分から恐ろしい目に会いに行く気は無いからね」
「たまには自分から飛び込むのも良いんじゃない? 本当に怖い事は寧ろ向こうから飛び込んでくるものだし」
 霊夢はよく判らない理屈を言ってくるが、僕は丁寧に断って二人を追い返す。

 やれやれ、なんだか疲れたな。少し休むとするか。

気がつけば、見知らぬ場所。

暗く、周りも定かではない。

と言うか狭い。しかし騒音じみた音は聞こえる。

助けてクレー

あ、これ錯音だ。本当は誰も居ない。

なんだこれは、どういうことだ。

「うやっ!」

気がつけば、元の香霖堂。

今のは、夢……?

「なぁ、君は何に有耶と言ったんだ……」
有耶無耶を見つめても、このときばかりは何も言ってくれず、ただあの瞳が僕を見つめてくるだけだった。

テーマ : 創作過程日記
ジャンル : 小説・文学


web拍手

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

鈴月

Author:鈴月
初めまして、鈴月(すずつき)と申します。最近になって東方に嵌った俄です。
ここではCoolier-クーリエ-東方創想話に投稿した作品のまとめ等を行いたいと思っています。

the.bell.moon○gmail.com
何かありましたら上記の連絡先までお願いします。
(○を@に変えて下さい)

Skype ID:suzu_tuki

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Twitter Updates
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。